初詣とお遍路さんで賑わう霊場 < 八栗聖天・第85番八栗寺 / 香川県 >
新年明けましておめでとうございます。平成30年も コトバスコラム をよろしくお願いします。
香川県で多くの人々が初詣に訪れる、八栗聖天(やくりしょうてん)に行ってきました。
神仏習合の名残が残る霊場
五剣山の中腹にある神社であり、ケーブルカーでの訪問が一般的。鳥居をくぐったところに本殿があります。
鳥居をくぐったところ、右側。一段高いところにあるのはお寺のお堂。
この場所、お宮さん(八栗聖天)であり お寺さん(四国八十八ヶ所第85番八栗寺)でもある。
鳥居から延びる参道の先には聖天堂
二天門(山門)から延びる参道の先には本堂
両者が同じ場所に祀られること自体は、明治以前は神仏習合が行われていたので 不思議なことではありませんが、それらの参道がクロスする形状は非常に珍しい。
歓喜天という神様
歓喜天堂
初詣で多くの方々が参拝に訪れるのはこちらのお堂。
歓喜天(かんきてん)
かんぎてん、聖天(しょうてん)、ガネーシャ とも
神様という性質上 秘仏として祀られることが多いが、頭が象・体が人の形状(象頭人身体)。一般的に商売の繁盛の神様として信仰を集めている。
歓喜天のシンボルは大きな巾着袋と二束の大根。
袋は歓喜天のご利益が大きいことから 抱えきれない幸福を納めて持ち帰る収納袋として。
大根は歓喜天の好物であることからお供えする。大根の白=清浄を表し、体内の毒や煩悩を消滅するとされる。
お参りする際は、
お賽銭
↓
二礼
↓
二拍手
↓
歓喜天の御真言 「おん きりくぎゃくうん そわか」 と3回唱える
↓
お願い事
↓
一礼
の順序で行いましょう。
参詣者を運ぶ八栗ケーブル
商売繁盛のご利益を求めて 毎月の朔日(一日)になると、商人さんの参拝が多いのが八栗聖天の特徴。
特に年始め、1月1日(元日)には 日付が変わった頃から多くの方が参拝に訪れるため、聖天さんにアクセスするケーブルカーは終夜運行が行われます。
現在の八栗ケーブルは、昭和39年(1964)の開業。
同年10月、東海道新幹線の東京・新大阪間が開業。東京オリンピックが開幕した年。
昭和6年(1931) 八栗登山鉄道開業
昭和19年(1944) 戦争激化による不要不急線として休止
昭和35年(1960) 正式に廃止
昭和39年(1964) 八栗ケーブル開業
今でこそ四国八十八ヶ所を回るお遍路さんが 山上へアクセスする交通手段として知られていますが、それまでは商売繁盛の "聖天さんまいり" の足。
戦前の登山鉄道時代は 「お遍路さんが乗物で行くなんて!」 という価値観だったことでしょう。
参拝の目的や性質は若干変わっても、今も昔も霊山へ向かう貴重な足として 参詣者を運び続けています。
八栗聖天、四国八十八ヶ所第85番八栗寺
< 自家用車 >
高松駅から 約30分、10km
高松空港から 約50分、25km
< 鉄道 >
ことでん志度線八栗駅下車 徒歩約25分、1.7km
※ 主な地点からの最速・最短距離