瀬戸の夕凪と、実は身近にも居るウミホタル < ウミホタル / 瀬戸内海沿岸 >
四国高松には 「瀬戸の夕凪」 という言葉があります。
海と陸の気温差が発生する朝と夜、それぞれ風が吹く向きが変わります。
瀬戸内海沿岸は夕立ち等が少ないように、比較的気候が安定したエリア。それぞれの風が、時の移り変わりを楽しむように ゆっくり入れ替わるので、一時的に無風、もしくは風が非常に穏やかに吹く時間があります。
その 夕方に風が止まる、すなわち凪(なぎ)の状態が 瀬戸の夕凪 です。
語感からは、瀬戸内海の島々と夕暮れを想像することができて 非常に風光明媚な感がありますが、実際に その時が訪れると 太陽がより近く感じられる西日と無風状態のダブルパンチとなるため、その時間帯は非常に暑い。
この街で暮らす人々にとっては、夜が訪れるまで もうひと踏ん張り必要な時間です。
実は身近なところにいるウミホタル
夜になったら 海辺へ出かけてみましょう。
街の中より少し涼しく感じられる事。夜ならではの海の風景を見ることができる事。
時には ウミホタルの青白い光を目にすることができます。
昼間は海の底に潜っているウミホタルですが、夜になると海中に姿を現して 捕食活動を行います。
春から秋にかけてが ウミホタルの活動時期。高水温を好むため、特に夏に活発な行動が見られます。今年のような猛暑日が続く年は 例年以上の活動を見ることができます。
ちなみに、
夜光虫
と
ウミホタル
混同されることが多い両者ですが、別の生物。
前者は水中を浮遊するプランクトン。水中をたも網等でかき回すと 水が光ることがありますが、それが夜光虫。
対してウミホタルは 小さな貝の仲間。観察するために捕獲する必要がありますが、海中に魚の切り身などを入れた仕掛けを沈めて引き上げると 採取することができます。
ウミホタルは死んでも発光器は失われないため、かつて陸軍では ジャングルを進軍する際にウミホタルを乾燥させた粉を持ち歩き、道に迷わないように 一定間隔にばらまくことがあったそうです。
ここでの詳細な生息地の公開は差し控えさせて頂きますが、実際にはどこにでもいます。
香川県であれば 三豊市の粟島ではウミホタルを鑑賞するツアーが開催されているようですが、そこへ夜に行けばもちろん、そうでなくても 高松の海でもウミホタルを見ることは可能です。
夏の夜、涼と幻想的風景を求めて 近くの海へおさんぽいかがですか?