1200年前から続く海の遍路道 < 竜の渡し・巡航船 / 高知県土佐市・須崎市 >
人間は海の上を歩いて渡ることはできません。
現在は橋によって、かつては渡し舟によって。人間は対岸へ渡っていました。
四国には お遍路さんの多くが辿って歩いた "遍路道" がありますが、以前は 四国各地に渡し舟によって通行する箇所が存在しました。
海の上に架かる宇佐大橋
宇佐大橋(うさおおはし / 高知県土佐市)
手前の「福島地区」と、対岸の「井尻地区」を結ぶ、全長645m・海面からの最高位は18.6mに及ぶ、海上に架かる橋。昭和48年12月開通。
横浪スカイラインの一部として観光開発が行われたため、開通当初は有料道路。現在は無料化されている。
かつて存在した "竜の渡し"
この場所の交通の歴史は非常に古く、およそ1200年前に遡る。
言い伝えでは、四国八十八ヶ所を開いた弘法大師(空海)が 対岸の竜地区に 青龍寺(しょうりゅうじ / 現36番札所)を建立した際、"井尻八人衆" と呼ばれる船乗りたちへ この地に留まって 末永く航路を維持するよう告げたとされる。
船乗りたちの子孫は その言いつけを守り、宇佐大橋が開通する昭和48年(1973)まで、1,000年以上もの長い間 渡し舟を維持し続けた。
宇佐大橋が開通するまでのお遍路さんは 竜の渡しを利用することで、海を隔てて位置する36番青龍寺を参拝することができました。
現代の竜の渡し・巡航船
第36番青龍寺へ向かう "竜の渡し" としては役目を終えたものの、その後継とも言える航路が 宇佐大橋の近くから発着しています。
須崎市営巡航船(すさきしえいじゅんこうせん / 須崎市)
奥まった浦ノ内湾に沿って 北→南→北→南... の順で ジグザグ運航される定期船。
主には小中学生が通学のため利用。そのため朝夕中心の運航ダイヤ、学休日が運休になっています。
今でこそ 横浪半島には道路が存在しますが、陸路で対岸へ渡るためには 大きな迂回が生じる。それを毎日 親御さんが送迎していては大変です。横浪エリアでは 子どもたちは 巡航船に乗って通学します。
巡航船には 一般人も乗船可能。次の37番岩本寺方面へ向かうお遍路さんの姿が見られます。
(乗船定員があるため 団体利用には向きません)
竜の渡しから続く海の遍路道は、形を変えて今も存続しています。
須崎市営巡航船・埋立乗船場
< 自家用車 >
高松駅から 約2時間10分、154km
高知龍馬空港から 約45分、33km
※ 主な地点からの最速・最短距離