瀬戸内国際芸術祭と大地の芸術祭 <香川県・新潟県>
瀬戸内国際芸術祭
通称「瀬戸芸」で初めて芸術祭というものに触れた方もたくさんいらっしゃるかと思います。昨今は瀬戸内国際芸術祭をはじめ、全国各地で芸術祭が開催されています。イタリア語でトリエンナーレは3年に1回、ビエンナーレは2年に一回という意味。世界には有名な芸術祭がたくさんあります。ベネチアビエンナーレ(イタリア)やドクメンタ(ドイツ)など。
ぱっと思いつく国内芸術祭を羅列するだけでも、ヨコハマトリエンナーレ、愛知トリエンナーレ、北アルプス国際芸術祭、奥能登国際芸術祭、Reborn-Art Festival、種子島宇宙芸術祭、札幌国際芸術祭、六甲ミーツ・アート 芸術散歩、UBEビエンナーレなどなど、挙げだすとキリがないほどたくさん開催されています。
瀬戸内国際芸術祭の会場となる島々
全国に林立する芸術祭の中でも2010年から「海の復権」をテーマに掲げ3年に1回行われているのが瀬戸内国際芸術祭(以降、瀬戸芸)です。
第一回目は7つの島と2つの港で行われましたが、第二回目からは12の島と2つの港で開催されています。「直島」「豊島」「女木島」「男木島」「小豆島」「大島」「犬島」「沙弥島」「本島」「高見島」「粟島」「伊吹島」「高松港」「宇野港」
さて、みなさんはどの島、港を訪れたことがあるでしょうか?島々はそれぞれに独自の個性があります。瀬戸芸ではアイランドホッピングをしながらアート作品を巡る中で、島で生きてきた人々の生活や文化を垣間見ることができます。来場者はそれを肌で感じながら潮風の中で五感を開放させていくのです。
パフォーミングアーツ(イベント)
また、場所や風景を生かしたパフォーミングアーツ(イベント)もたくさん行われています。これも作品制作と同じく地域の方のアドバイスやサポートを受けて一緒に作り上げる地域型芸術祭ならではのものです。
前回(2016年)の瀬戸芸ではオーストラリアのアーティスト「スナッフパペッツ」が地域の方々と一緒に16日間かけて巨大な人形を作り、沙弥島のナカンダ浜で巨大人形劇の公演を行いました。
公演には地元の太鼓チームが音楽部隊で加わり、総出で一つの作品を作り上げました。来場者がその作品を観て大喜びし公演に関わった皆さんが、それをみて大喜びするという、大変だったけど、関わって良かったと思っていただけるパフォーマンスになりました。こうして、芸術祭とアーティストと来場者と地域の方々が繋がり、一つの作品を作り出しています。瀬戸芸に来るなら、作品と併せてパフォーミングアーツプログラムも要チェックです。
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ
もう一つ、「瀬戸内国際芸術祭」の兄貴分にあたる「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(以降、大地の芸術祭)をご紹介します。
大地の芸術祭は、過疎高齢化の進む日本有数の豪雪地・越後妻有(新潟県十日町市、津南町)を舞台に、2000年から開催されているトリエンナーレです。豪雪、農業を通して大地とかかわってきた「里山」の暮らしが今も豊かに残っている地域で、「人間は自然に内包される」を基本理念として里山を巡る旅は、アートによる地域型芸術祭のレジェンドとして、瀬戸芸と共に国内外から注目を集めています。
こちらにもボランティアサポーターグループがあり、その名も「こへび隊」。芸術祭と共に2000年から活動を続けていて瀬戸芸の「こえび隊」の大先輩です。
大地の芸術祭は瀬戸内国際芸術祭の「兄貴分」と書きましたが、これは瀬戸芸の総合ディレクターである北川フラムさんが1996年から関わっているものだからです。2010年から始まった瀬戸芸の10年以上も前から里山で展開されていた大地の芸術祭は東京23区ほどの広大な里山に約200の常設作品に加え、会期中には新作を公開します。
「芸術祭」をキーワードに旅を計画するのもまた一興。よりその地域の特色を五感で感じることができるかもしれませんよ!