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四万十川の水が用いられる水力発電所 < 佐賀発電所 / 高知県黒潮町 >

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四万十川本流にダムを設け、そこで取水した水を 高南台地の高低差を生かして水力発電を行い、その水を別水系である伊与木川に放水している発電所があります。

家地川ダム → 市野々川 → 伊与木川

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窪川(現四万十町)方面から来る場合、伊与木川を挟んで右岸の道を進んでくると、この地点に差し掛かります。前の橋の下を流れる小さな川・市野々川(いちののがわ)に 家地川ダムで抜かれた四万十川の水が、水力発電を経て放水されていることになります。

伊与木川右岸の道路は、左岸の国道56号と比べて 交通量はあまりありませんが、所々 狭隘箇所(きょうあいかしょ)が存在するので、自動車の場合は運転に注意が必要。
ずっとその広くない右岸の道を通って来ないといけないかと言うと そうではなくて、左岸の国道56号で来て 伊与喜駅手前で県道367号分岐を曲がれば、この場所に来ることができます。

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市野々川(四万十川の放水含む)から伊与木川へ合流するところ。どちらの川も 水がとてもきれい。

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橋の上から市野々川の上流を眺めたところ。土佐くろしお鉄道中村線のコンクリート橋桁が見えます。残念ながら列車が通ったとしても、別段ロケーションが良いわけではありません。
そもそも この場所自体、観光地で無ければ名勝でも無い。四万十川の水を利用した水力発電所が稼働していることは、発電所付近を含めても 掲示はありません。

山へ延びる導水管、中の水は四万十川から

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伊与木川から少し内陸に入ったところ。

高圧電線、送電線、変電所、導水管...

水力発電に必要な、一通りの施設が現れます。

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山の上から麓へ送水管が延びています。
高低差を利用して水を流し、その勢いでタービンを回転させて発電を行うのが、水力発電。佐賀発電所の場合は 高南台地(=家地川ダム)から四万十川の水を引っ張って、発電用水を確保しています。

世の中には様々な発電方式があり、二酸化炭素や放射性物質を排出する等 環境への負荷が懸念される方式が問題になっていますが、水力発電は 水の流れるエネルギーを電気に換えるので、比較的エコロジーな発電方法と言える。特にここ佐賀発電所の場合は、麓から水力発電に用いる水を 揚水(ポンプアップ)しているわけではないので、その点でもエコ。

ただ、当地に限らず 水力発電用のまとまった量の水を確保するためには、河川にダムが必要になってきます。そうなると魚類の遡上が阻害されるなど、川の生態系に与える影響は小さくありません。

人間が生活する以上 環境負荷は免れる事ができないことですが、それができるだけ大きいものでないように、各人 気を付けたいところです。

渡川と四万十川、二つの呼称

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発電所の前に、ダムの概要が記された看板が掲示されています。
これだけを見ても 発電に用いられる水が四万十川のものであることが、全くわかりません。

当地で発電事業を行うために設立された会社が「渡川水力」
戦前に国の電力増強政策によって建設されました。その後、四国電力の事業の一つになっています。

"渡川(わたりがわ)"
とは、四万十川の旧称。その名前があまりにも有名になりましたが、河川の正式名称に採用されたのは 平成6年(1994)の事。
古くは「四万十川」と書いて「わたりがわ」と読ませたり、「四万渡川」と記載された書物が確認されている。それらのことから、明治29年(1896)の旧河川法における 川の正式名称には「渡川」が採用された。

現在は前述の通り「四万十川」が正式名称になっていますが、水系としての名称は「渡川」。その名残を河川グループ名から見ることができます。

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本来 出会わないはずの伊与木川と四万十川の水。
水力発電を終えた四万十川の水は 市野々川を経て伊与木川に放水され、ほどなく太平洋に注いでいます。

佐賀発電所

< 自家用車 >
高松駅から 約2時間50分、205km
高知龍馬空港から 約1時間30分、96km
< 公共交通機関 >
土佐くろしお鉄道中村線・伊与喜駅下車 徒歩約18分

※ 主な地点からの最速・最短距離

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この記事を書いた人

野瀬 章史
野瀬 章史/ゲストハウスそらうみ 四国八十八ヶ所霊場会公認先達 法名・照山の僧籍

四国高松でゲストハウスそらうみを運営する傍ら、四国八十八ヶ所霊場会公認先達として、お遍路さんの案内を務める。法名・照山(しょうざん)の僧籍も持つ。趣味はバイクツーリング、カヌー、登山、鉄道、料理など。日本の全離島・全地点を隅々まで回るべく、愛犬しょうとの日本一周旅の途上。