高知県国鉄始まりの地<須崎駅/高知県須崎市>
こちらは高知県にある主要駅の一つですが、駅舎の前に列車車輪のモニュメントが置かれています。「高知県国鉄発祥の地」の銘板が、この地から鉄道が広がっていったことを伝えています。
須崎駅
須崎駅<すさきえき/高知県須崎市>
須崎は「すさき」と濁らず読みます。
県都・高知市にある「高知駅」から約42km西へ進んだ地点が「須崎駅」
その先は「土佐の親不知(とさのおやしらず)」と呼ばれる、断崖絶壁が太平洋に迫る交通の難所。現在は鉄路・道路共にトンネルや橋でその厳しい地形や急峻な勾配を克服していますが、昭和20年代に同区間に鉄道が開通するまで往来には相当な困難があったようです。
須崎駅から運転されている列車の本数。
黒字...普通列車
赤字...特急列車
(上り)高知方面は各駅停車が1時間に1本、特急列車が概ね1時間半に1本運転されていますが、
(下り)窪川方面は各駅停車が7本。特急列車が概ね1時間半に1本の運転と、全国的に見ても閑散区間になっています。
※運転本数は取材時のものです
つまり、公共交通機関の上では当駅が高知県中部・西部の境界となる駅であり、須崎市はその境目に位置している都市(人口約2万1千人)と言えます。
高知県の国鉄網が始まった地点
公共交通上では境界となる須崎駅は、高知県の国鉄鉄道網(現JR四国)が始まった地。
三方を山に囲われた高知県に鉄道資材を輸送するにあたり、海からの運搬が計画されました。太平洋に面し水深がある須崎湾は、大型船の入港が可能な天然の良港。須崎が県の中央部に位置することも有利に働きました。
この場所で運搬された鉄道資材の揚陸が行われ、高知県における鉄道の敷設が始まりました。
同様の例は、東海地区では「武豊線(たけとよせん)」、山陰地区では「境線(さかいせん)」等で見ることができます。
高知県における国鉄は大正13年(1924)3月に初代区間が開通。同年11月に県都である高知まで到達しました。
その後順次路線を伸ばして行き、昭和10年(1935)の「豊永(とよなが)-三縄(みなわ)」間の開通によって(現)土讃線と接続。陸続きではない北海道と沖縄県を除いて、隣県と陸続きで接している県としては、一番最後に県外と鉄道が繋がったのが高知県でした。
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ただし、高知県の全体においては鉄道の歴史はそれより古く、高知市では遡ること明治37年(1904)5月に土佐電気鉄道が開通しています。
街の名を上げたゆるキャラ
須崎の名前は、ゆるキャラグランプリ2016で第一位を獲得した「しんじょう君」が知名度を上げました。
モチーフは、
須崎市の新荘川(しんじょうがわ)で「二ホンカワウソ」が国内では最後に目撃されたことに由来。
頭部には地元グルメとして親しまれている「鍋焼きラーメン」の具材があしらわれています。
鉄道を運行するJR四国ともタイアップして、須崎駅にはいくつかのグッズが販売されています。
一つ先の「土佐新荘駅」は、しんじょう君たち二ホンカワウソが棲息していた新荘川隣接の駅。言わばしんじょう君の地元の駅ということで、駅舎にラッピングが施され人気を博しておりますが、列車の運行自体は一日6~7便ほどの各駅停車が停車するだけの無人駅。入場券を買い求める場合は須崎駅になります。
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駅構内至る所で登場する「しんじょう君」
それとは別に、駅の規模や利用客数のわりに多数の線路が敷かれていることが、須崎駅が運行上の起点でありこの地から鉄道が始まった証。
車両やり繰りの操車線としての役割と、須崎市の主産業であるセメントを運搬する貨車を留置するための側線と思われます。
※後者は現在トラック輸送が主流になっています
須崎駅
< 自家用車 >
高松駅から 約2時間10分、163km
高知龍馬空港から 約1時間、58km
< 公共交通機関 >
JR土讃線・須崎駅下車
※ 主な地点からの最速・最短距離